つれづれ


抗インフルエンザ薬は治療のオプションです

投稿日時:2023/10/21 18:21


インフルエンザが猛威を振るっています。
微熱程度で済んでいるごく軽症の人から、初日から高熱でぐったりしている人まで症状は人様々です。
インフルエンザは別名を流行性感冒といい、ごく簡単に言えば「他者に非常に感染しやすいインフルエンザウイルスによるカゼ」ということになります。
残念ながらインフルエンザウイルスを殺せる(減らせる)薬剤は存在せず、タミフルやリレンザ、イナビルなどの抗ウイルス剤は「ウイルスの増殖を抑制する」薬剤です。
インフルエンザウイルスが増殖するのは最初の2日間程度のため、これらの薬が有効なのも2日間、それが「48時間以内に医療機関を受診して・・・」と以前テレビなどが騒いでいたことの意味です。
その効果については、タミフルを例にとると、非投与者の発熱率は72時間で18%程度まで減るのに対して投与者では48時間で12%程度に減る、つまり「1日くらい解熱が早くなる」というのがデータ上確認されているメリットになります。
残念ながらウイルスが減ることはないので、抗インフルエンザ薬を使っても合併症などが有意に減少するというデータはありません。
あくまで「辛い発熱期間を1日程度短くするための薬」という位置づけです。
逆に言えば、症状が軽い人にとっては必ずしもメリットはないということでもあります。
ちなみにこれもタミフルのデータですが、細粒を使う小児では4-5人に1人、カプセルを使う成人では20人に1人程度に腹痛や嘔吐・下痢などの消化器症状が出るのが最も多い副作用となります。
インフルエンザかもしれないから急いで受診して抗インフルエンザ薬を貰わなくては!などと慌てずに、体調が悪い時には先ずは自宅で安静を保ち、他の疾患との鑑別も行いやすい発症後24時間以上経過してからの受診を考えましょう。
もちろん症状が辛いときは別ですので、迷った時にはかかりつけ医に相談してください。


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