つれづれ


RSウイルス感染症が急増しています!

投稿日時:2021/09/07 10:35


少し前にテレビ等で大流行の報道がされていたRSウイルス感染症が、とうとう下北地区にも押し寄せてきました。
むつ病院の感染症情報によれば、8/23-29に9名の報告がありましたが、翌週の8/30-9/5には32名と3倍以上の増加です。

RSウイルスには生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の児が感染するといわれていますが、一度罹っても終生免疫ができることはなく、生涯にわたって何度でも感染・発病を繰り返すのが特徴です。

症状は感染から数日の潜伏期間を経て出現し、鼻水程度のごく軽いカゼ症状で終わるものが多数ですが、その後咳き込みが出現し、細気管支炎や肺炎になって喘鳴や呼吸困難などをきたしたりして重篤になる場合があり、特に乳児が感染した場合には重篤化する可能性が高い(初感染乳幼児の3割くらい)と言われています。

ウイルスの感染経路は、飛沫感染(咳やくしゃみ、会話など)と接触感染(直接の体の接触、ウイルスの付着した手などで触った物を介して)ですが、空気感染やエアロゾル感染はないとされています。

RSウイルスはエンベロープと呼ばれる膜につつまれた構造をしていることから、アルコール消毒でこの膜を破壊することで失活させることができます。
(もちろん塩素系消毒剤も有効です)

RSウイルスに対する特異的な薬剤はなく、対症療法のみとなります。

予防策としては、残念ながらワクチンはありませんが、早産児や基礎疾患を持つ乳幼児に対しては、重篤化の抑制を期待して流行期を迎える前にモノクローナル抗体の注射を行うことができます。

新型コロナ感染症も心配ですが、小児科においてはRSウイルス感染症も非常に心配な疾患です。
カゼ症状がでたら「症状が軽いから大丈夫」と考えずに、登園・登校は控え、医療機関で診察・診断を受けた上で、自宅でゆっくりと休むようにしましょう。


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